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芸術監督の視点

Introduction
私は芸術監督として、作品を選ぶ視点をお話しする前に、まず皆さんに話しておきたいことがあります。それは、「なぜ、国際児童青少年演劇フェスティバル大阪を開催する必要があるのか?」という事です。この事について、私は二つの考えを持っています。

Tactan2008
-International Pafoming Arts Festival Osaka for Children and Young Audience-

子どもたちが早い段階から国際的な環境にじかに触れる機会を持つというのは非常に重要だということです。これからの子どもたちは国際的な視野を持つことが必要です。地球における問題は今や、一つの国だけで解決できることは少ないからです。食糧問題、政治問題、経済に至るまでその人的交流はますますその頻度を増すことでしょう。こういう社会の情勢を大人になってから理解するのではなく、文化や芸術を通して国際的な視野を持つ人間へと育てるのが我々大人の責務であると思うからです。優れた舞台芸術には現代における人間の営みや、様々な人間関係が含まれています。それらを体験することで、自然に人と人との相違や国々との違いを感じ、また「人間は皆、同じように喜び悲しみ怒り笑うのだ」という根本的な部分に気づかせてくれます。

もう一つは、従来推し進められてきた箱物的な手法に対する提案です。文化や芸術は時に劇場を作ったり、美術館を作ることだと思われがちです。しかし、本当に必要なのは、「そこで何がやられるのか?」と言うことだというのは、みなさんすでにお気づきのことだと思います。児童青少年演劇は必ずしも劇場を必要とはしません。それは「子どもたちに演劇を届けるという思い」から、幼稚園や体育館、野外など様々な場所を公演場所として上演を可能にしてきたからであります。今回のフェスティバルでも、通常では劇場使用しない場所を、あえて劇場として使っています。「演劇はどこでも可能である」というのが我々の提案です。大阪では現在、新知事の方針により、いくつかの劇場が廃止縮小移転など文化施策の転換期にあたっています。これからはよりハードよりもソフトに目を向ける時代です。国際的な舞台芸術を招致し発信する大阪というイメージが広がれば、今までよりもコストを抑えた文化交流が可能になります。これからの文化は形ではなく心に残すものとして未来へと伝えるべきなのです。

最後につけくわえておきたいのは、大阪の現状です。青少年の犯罪が常に全国でトップクラスであること。これは社会全体の歪みを象徴していると言えましょう。このことをどう考えていくのか。子どもたちの発達段階において、確かに学力向上は最も重要です。しかし、心の発達無くして真の学力向上、人間的な成長は望めません。アメリカなどの研究では子どもたちに「舞台芸術を与える」環境と「まったく与えない」環境で育てた場合、一定期間ののち、与えた子どもたちの方が与えない子どもたちに比べ、学力の向上がみられた。という研究結果があります。これは考えてみれば至極当然のことです。舞台芸術をみるためにはどうしても子どもたちは想像力を駆使しますから、そういう力は学力などにも好影響を与えるだろうということは誰でも理解できるところです。子ども時代に得た感動はそのまま大人になるまで、様々な形で良い影響を子どもたちに与えます。

以上をふまえて、これから私の作品を選ぶ視点について述べたいと思います。

私は2007年、このフェスティバルの芸術監督に就任しました。世界中のフェスティバルを巡る中で感じたのは「本当に良い作品が世界にはある」ということ。頭には「これを日本の子どもたちに見せてあげられたら」という事ばかりで一杯でした。昨年より幸運にもその機会を得ることが出来ました。

このフェスティバルに私は「子ども向けの作品」は選びません。子どもたちはもちろん、大人がみても本当に面白いと思える作品を選ぶことに努力をします。虚飾を廃したシンプルで力強いメッセージを持った作品を。これらの作品は家族で観ることを可能にします。子どものためではなく家族で一緒に楽しんで欲しいというのが我々の願いです。その体験は子どもにとって大変貴重です。家族で感動を共有し、一つの作品について語り合う時間は、なんと素晴らしいことでしょう!

●100名ほどで観る、小規模な上演形態の作品を集めています。
通常、興行などで売り上げを上げようとすると最低でも400人規模の会場となります。海外から招致する場合はそこに渡航費、滞在費、運搬費などが加算されてきます。その形態で呼べる作品というのは自ずとエンターテイメントに偏りがちです。ヨーロッパなどでは児童青少年向け演劇は100名程度の上演が通例です。子どもたちにより近い状態で生の舞台を届ける必要があるからです。残念ながらこれらの優れた舞台は、いままでほとんど日本では観ることができませんでした。

●言葉だけに頼らない作品を
観てわかるというのは非常に重要です。

●世界各国の様々な文化的背景を持った国々から
2008年はロシア、デンマーク、ドイツ、ブルガリア、トルコ、コンゴ、インドネシア、ジャワ、イタリアから素晴らしい人たちと作品がやってきます。

●舞台芸術の可能性、様々な表現性を網羅する
今年も人形劇、マイム、影絵、紙人形、人間劇、音楽、ダンス、パフォーマンスなど多様な表現を集めています。

●日本からの作品は、海外を目指している作品にその機会を与える。
このフェスティバルは国際フェスティバルです。海外からのゲストも多数来日します。その中には各国のフェスティバルの芸術監督もいます。これらは海外進出を考える出演者にとってもまたとない機会となります。いずれはこの大阪が、広く海外とアジアを舞台芸術で結ぶ重要な交流拠点となる事を我々は目指しています。

●優れたアーティストを招聘する
今までにない技術や新しい舞台表現を見せてくれる作品を優先したいと考えています。

●国際的な共同制作作品などを推進していきます。


異なる文化背景などを持った国々との作品の共同制作を推し進めます。

今年のテーマは「真に豊かな人間同士の営みを」としました。海外からのアーティスト達は国際共同制作の経験も数多くあり、自らの利益のためだけではなく民間レベルの国際文化交流を目指している真の国際人です。彼らは人間的にもとても素晴らしい人たちが多いです。是非あなたも出演者やスタッフと舞台だけではなく、様々な場面で交流してください。ボランティアとしての参加なども大歓迎です。もし彼らに出会ったら気軽に話しかけてみてください。あなたの笑顔がこの国の人たちの印象を語ります。これはみんなでつくる未来のフェスティバルなのです。

国際児童青少年演劇フェスティバル大阪 Tactan2008芸術監督
中立公平 Kohey Nakadachi

 
 
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